ECM
Daily listening to ECM Label's disc and thinking of my impressions

ECM 1563
Ralph Towner Lost and Found
Ralph Towner, classical and 12-string guitars Marc Johnson, double-bass
Denney Goodhew, soprano and baritone saxophones Jon Christensen, drums
広大な草原に孤独にひとりたたずむぶたちゃんの写真が何とも印象的だが、このジャケットデザインは私には特に魅力的なものであり、その素晴らしい音楽に加え、そこに心引かれる大切なものが含まれていたことも、間違いなくそれは事実なのである。
ギターのRalph Townerが、サックス、ベース、ドラムと共演したディスクである。レコード屋の売場としては、ジャズのコーナーにおいてあるのだけれど、聞いた印象としては、単にジャズとして、安易に分類してはいけないのではないかとも感じさせる、音づくりにおける、ジャンルを越えた自由な精神、多様な表現を可能にする、ECMならではの音楽プロデュースに、私は強い感銘を受ける。
ここでの圧倒的素晴らしさは、その卓越したバランス感覚、研ぎすまされた感性であると思う。シンプルで透明であり、独特の世界が生み出されている。ギターの音色のせいもあると思うが、非常にデリケートであり、ここで保たれている平衡感覚は、実に微妙なものにも感じられた。そこに存在する寂しさ、現代社会へのむなしさ、心に浮かぶ荒涼とした風景は、孤独ではあるが、しかしそれは、同時にこのようにも美しい音楽を、生みだしているのである。我々はそうしたところを心に感じとり、ひかれているのであろう。疲れた心を癒してくれる、ゆったりとした大きな時間の流れ、静寂にも近い安らぎの空間が、そこには存在しているのだ。

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