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中里村で最も魅力に感じられる清流と緑の恵みを最大限に受けられるように、役場のエントランスは川側に設け、建物全体が川に向かって開かれた構成とした。役場を訪れた人は、国道より徐々に川に近づいていくスロープを通ってアクセスする。川、山、緑、空、中里村の豊かな自然を感じながら、人々は役場にやって来る。そしてそのうちに、自然を感じられる場所として、役場に親しみを感じるようになるであろう。我々は中里村において役場がどうあるべきかを考えたとき、それが最も望ましいと考えたのだ。

将来、対岸に国道バイパスの建設が計画されている。開通すれば、人や物の流れは徐々に川の向こうへと移るであろう。現在の国道沿いは活気を失い、寂れていくことは間違いない。この役場は位置的にも、地域にとって、その存在は重要である。かつて敷地近傍には、吊り橋が架けられていた。今もその跡は残っており、歴史に触れることができる。将来、その吊り橋を再生させたい。新庁舎と対岸とが結ばれるのである。そのとき新庁舎は、過去の記憶と未来をつなぐ結節点となるであろう。そしてそこから新たな「未来への場所の力」が生み出され、未来に向かって、新しい中里村の歴史がはじまるのである。

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